生命とは何か?その8
3人目として、東京大学名誉教授の松井孝典先生にご登場願いましょう。
先生は惑星科学者で、海の誕生を解明した『水惑星の理論』などで知られています。

まず、生命の最も重要な特徴として、設計図であるDNAやRNA、そこに核酸塩基で書かれている言語をあげています。

では、なぜ、これらがこんな風にできているかはわかっていません。これがわかれば、普遍的な意味での生命についてわかるようになるとみています。

現在、注目しているのはウイルスで、地球生命に限りなく近い物質だからです。

iPS細胞によって単細胞からなる生物や、あるいは部品をつくることはできても、多細胞の統合されたシステムをつくることは難しいとみています。

我々は、普遍的な生物学を持っていなくて、生命の定義を知らないと考えています。設計図に既存の生物のDNAを流用して、化学的な過程をすべて再現することはできないとみています。

これからの若い人には、普遍性のある生物学を志してほしいということでした。