私を尊敬し、自慢をして
友人、知人を私の元へ連れてくるのが何より楽しみの甥だった。

父、祖父両方に似て男前だった。女優N.Y.さん曰く、ルーツが同じなようだ。

自分の寿命を知っていたかのように、娘を私に近づけようとした。だから一層親密になる。

結婚式も相手を選ぶのも全てわれわれが親代わりで行った。嫁と向こうの縁者は全て私と家内を「お父さん」「お母さん」と呼んだ。

勤めをする傍ら、私の事業の支店のような仕事を住んでいる地で行わせ、通勤の車もこちらで買い与えた。

車部品の勤めだからか、運転は上手かった。あるとき、自動二輪に乗りたいと言い出して、友人と京都へドライブへ出かけた、そこで軽い事故に会い、それ以来、二度と単車に乗ることを口にしなくなった。

二件向こう隣の喫茶店には、彼の客用のチケットを置いていて、帰りに友人たちは「ご馳走様でした」と挨拶して帰るのが常だった。

嫁は朝こちらへ甥が送ってきて、仕事帰りに寄って連れ帰る生活。子供が出来てからもそれが続いた。

それが今の娘で、われわれを「じいじ」「ばあば」と呼ばせていたから、当時40代で爺婆になったようなものだった。

今度の孫たちは曾孫のようなもので、人様より一回り早い世代交代なのかも知れない。