季節風吹き荒れる
東北だけではない全国的な冬型のようだ。西の強い風は嫌いだ。懐かしい郷里の思い出の中に唯一嫌いなことがこの強い季節風である。

体重を倒すほどに前に倒して歩いて丁度良いほどの風の力。周辺の森林が鳴る風の音は暗いイメージだった。

兄と三歳違いの私は受験せずに浪人した。他人は受験で失敗したと思っていただろう。

二人大学は無理という親の意思だった。

(次の年は上京して独学で親の援助なしに大学生活を送ったのだったから、何のための浪人だったか。

今にして思うと無駄な一年。いや、父と二人で兄を卒業させるために働いたのだから、無意味ではなかったのだが、仕送りを受けた兄は母に感謝し、父と私の努力は左程分かっていなかったし、今も知らないだろう。)

1.5km離れた町に父の甥が局長の郵便局があった。

兄へ仕送の書留を送りに強い西風に向かって自転車を走らせる。局の窓口で手続の途中、脳貧血で倒れてしまう。それほど丈夫ではなかったが、病弱ではなかった私。

それほどに季節風が強かったのだ。局長室で休んで、書留は局員に書いてもらって用を済ませる。

情けない思い出である。スポーツ何でもの私だったが、持久力は問題があった。母親譲りの低血圧だったのだろう。

風呂でも貧血を起こすことがあった。そんな季節風は私の脳裏に暗い思い出ばかりを残した。

中年以降血圧が高くなってからのほうが私は健康である。診断で測定は高いとでるが、そのほうが力が出るのである。

暮れの診断以来、血圧の薬を医師が出してくれるから、それは飲み続けている。下は80台て落ち着き、上が160は高いといわれる。

生活していて、どの状態のときが血圧の測定時期なのか、今も疑問を持っている。静かにじっとしていることは少ない私である。

活動しているときは人間は200近くなっている筈である。基礎血圧といって寝起きで、動く前の状態が基になるとも聞いた。

また、横になってテレビを見ていた直後測定すると、もっとも低い値が出る。常時高いのは心臓と血管に負担がかかる。

心電図でブロックが出たことがそれだという。今まで、心臓の自覚症状は一度もない。

コレステロールもそれが引き金で高くなるはずだが、正常である。診断は私には無用なことだったような気がする。