奥さんの死を越えて
 俳優宇津井健さんの奥さん、宇津井友里恵さんが、肝臓がんのため12日の早朝、都内の病院で亡くなったとのこと。

15日に分かったのだが、13日に近親者だけで密葬が営まれ、宇津井さんは、亡くなった当日も、周囲に妻の死を知らせず、ラジオ出演やTBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の仕事をこなしていたという。

 宇津井は愛妻家として知られていた。所属事務所によると、約3年前に友里恵さんを病魔が襲い、入退院を繰り返していたが、12日早朝、息を引き取ったのだそうだ。
 彼は最愛の妻が亡くなっても「皆さんに迷惑を掛けたくない」と、仕事関係者に事実を一切知らせなかった。

数時間後の午前8時30分からTBSラジオの生番組に約2時間ゲスト出演し「渡る世間−」をPRした。

午後からは同ドラマのリハーサルに参加。当日、関係者から極秘で訃報(ふほう)を知らされた同ドラマの石井ふく子プロデューサーは「宇津井さんを含め、共演者にも言わないよう口止めされ、私は見詰めるしかなかった。

「奥さんの死を感じさせずに、いつもと同じように仕事をこなしていました。プロフェッショナルな人で、本当に頭が下がります」と現場の様子を振り返った。

今度のしごとが入ったことを最も喜んだのが病の奥さん。

彼にとっては、奥さんが楽しみにしていた仕事を休まずこなすことが、何よりの愛情表現なのだったかもしれない。

それにしても見事なプロ根性に感服。奥さんのご冥福を祈る。     合掌