遅刻寸前
登校前に、クラスメートがリコーダーを手にしているのに私が気が付いた。孫娘にいうと慌てて、探しはじめた。

カバーが見つからない。家を出る時刻と過ぎている。それがないと学校へ行けないと泣き出した。

それを「いい加減にしなさい。四年にもなって自分で準備しなさい」「嫌なら学校休みなさい」

横で聞いている私が、一緒に探すが見つからない。遂に、「汚い家の中では、見つからないのが当たり前」「親なら、怒る前に、探してやれ」

「とばっちりがこっちへ来たでしょう」とまた孫を叱る。

「僕遅くなっちゃう」と弟までが半泣きである。探しているうちに、弟を校門まで車で送り届ける。

引き返すと、家内が姉を連れて途中まで来ていた。玄関のスリッパ置き場に、きちんと孫が畳んで置いてあったらしい。

また、車に乗せて姉も校門まで送る。これで一段落と思ったら、門の前で家内が立ち尽くしている。

娘が門の鍵をかけていたらしい。外出ではない、急いで姉を送った家内はかぎは持っていない。

鍵を絶対かけない、持たない娘が、自分が中に居るときは用心に鍵をかけることは知っているらしい。

「どうしてだ」と聞くと「何時も鍵を掛けろというでしょう」と切り返してくる。

親の不出来で、慌てるわれわれだが、注意されてふてくされた意地悪としか思えない。

質悪のDNAが娘の体に存在するのを思い知らされた。