青の炎
高校の放課後の美術室。
ひとり少女が絵を描いている。
少年が入ってくる。

「何描いてんだ?」

「君の三十年後」

「四十七歳だ。きっと中年のおっさんになってるな。おなかが出てて、禿げてるかもしれない」

「足が臭いかも・・・」

その絵はその少年のままの青い絵だ。

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「好きなものをノートに書いていくの」

「好きなものがなかったら?」

「じゃあ、嫌いなものを書いていって、燃しちゃうの」

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俺の好きなもの、ロードレーサー、かあさんの手料理、妹のふくれっつら、君の・・・、トム・ウェイツの声、ジダンのドリブル・・・。

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昨夜遅く録りおきのビデオを見ていた。

ぼくはあのころより体重が五キロ増えていて、ウェストが六センチ広がっている。髪に少し白いものが混じっている。あのときの少女は某男性と結婚し、一児をもうけている(関係ない)。少年時代殺意を抱いた経験はない。が、今なら多少は理解できる。