Jリーグ
  サッカー・天皇杯全日本選手権の三回戦、J1を完全制覇した横浜Fマリノス対市立船橋高校戦は、からくもPK戦でマリノスが勝ったものの、日本のプロサッカー界のレベルの低さを露呈した試合だった。高額な年俸でプレイする日本一のプロチームが、いくら調子が悪かったからといえ、16〜18歳の高校生イレブンと延長試合を演じ、2-2でPK戦に突入するとは、あきれはててものがいえない。プロ野球なら、夏の甲子園優勝チームとどのチームの二軍とが戦っても、おそらくプロ野球チームが大差で勝つことだろう。今年の日本一、福岡ダイエーホークスのレギュラーと試合をすれば、5回コールドゲームはまちがいない。野球では、プロと高校生との差はお話にならないほど甚だしい。

 J1で低迷が続くヴィッセル神戸は、経営難に陥り、民事再生法を申請したばかりだ。スポンサー企業はつぎつぎと撤退し、地元神戸市はその赤字補填に音をあげた。現在インターネット商店街の楽天への譲渡が有力視されている。また、J2のサガン鳥栖は存続の危機に瀕している。Jリーグが発足したころ、またワールドカップが日韓で開催されたとき、サッカーはそれなりに盛りあがった。が、Jリーグの現状はJ1とJ2で28チームもあり、プロ野球チームの二倍を四チームも上回る。

 サッカーでは、スポーツ新聞は売れないという。やたらサポーターたちが騒いではいるが、全国民における人気度のすそ野はプロ野球に比べてかなり劣る。その理由を、熱烈なサッカーファンを擁する欧州の国民性の差と、日本におけるサッカーというスポーツの歴史の浅さだという考えは、的を得ていないと思う。Jリーグが発足してすでに十数年が経過している。人気選手の多くは欧州へ移籍し、TOTO(サッカーくじ)の売れ行きも悪く、サッカー人気はどうにか国際大会でのみ維持できている程度だ。
 
 企業はリストラの余地を模索している。社会人スポーツチームが年々減り続け、それは野球にまで及びはじめた。いつ大手企業が、Jリーグから撤退するかわからない現状である。コストのかかるわりに宣伝効果はほとんどなく、観客動員が少ないから赤字は増える一方だ。プロ野球は週に六試合を行う。サッカーはといえば、せいぜい二試合、観客は数千人ほどが多く、1試合5万人を集客するジャイアンツやタイガース、ホークスなどの年間300万人以上の観客動員にはるかに及ばない。

 Jリーグはあまりにレベルが低いといわざるをえない。はっきりいって、へたくそきわまりないのだ。へたくそな試合を誰が好んで見る? もし、PK戦で市立船橋高校が勝っていたなら、高校生イレブンを讃えるより、番狂わせを演じたプロナンバーワンチームに各紙がこぞって批判の言葉をあびせるだろう。とにもかくにもチームが多すぎるのである。精鋭を集めて、プロ野球ほどにチームを集約し、さすがプロフェッショナルだと感じさせるプレイを見せなければ、Jリーグ自体が存続の危機に立たされるかもしれない。そして、ジャパンチームだけが残り、バレーボールのように年に1〜2度だけブラウン管のスポットをあびるようになる可能性だってある。そのときは、優勝争いとはかやの外、すこぶるよわっちいチームになり下がっていることだろう。

 時代の流れとともに、「キャプテン翼」が「アタックNO1」のようにならぬことを祈るばかりである。