ガーデニングデー
 花壇の模様替えを一気にした。まだ咲いていたのだけれど、名残を振り切って、三面の花壇をビオラとパンジー、デイジーに振り分けた。総数500本、まだ蕾も見られない苗もたくさんあるが、整列した小さな緑の葉と土肌のコントラストは初々しくある。また新たな出発のようだ。これから冷たい冬を越して、春の盛りに満開になるよう、土のなかの見えない部分から徐々に生育をしていく。

 菜園での夏の名残は、唯一ピーマンだけになった。霜が降りるときまでどうにかその命を存えている。柿の葉はすっかり落ち、花梨や木蓮の葉は日々その数を減らしていっている。紅葉した銀杏の葉が、ある朝一瞬にして落葉したとき、今年の冬が始まる。暦ではない、気候としての冷たい冬が。

 プランターの土の入れ替え、再生が、年々面倒になってくる。プランターや鉢の数が多すぎるのだ。土を空けるとプランターの下敷きにはナメクジがいやらしいほどついている。奥深く潜んでいて、夜になると這い出して緑の葉や花びらをなめつくすのだ。ひととこに集めると、その数は100を超えた。踏んづけるのも気持ち悪い。息子を呼んで塩をかけさせた。子供はこういうことをするのが好きだ。ほかの作業は手伝いたがらない。

 思い立って、プランターの数を20あまり減らした。中央をプランターで長方形に囲って、中を花壇のようにした。根や雑草を取り払ってから、苦土石灰をまき、肥料を施して、スコップでかき混ぜた。そこで腰の限界になった。

 残り半数のプランターは、未だインパチェンスが咲いている。インパチェンスの根は深くて、引き抜けば、土ごとごっそり抜けてしまうだろう。土と根の仕分けが毎年のことだが、面倒きわまりない。全部捨てて、新たに土を買うか作るほうがはるかに楽で簡単だ。が、金で何もかもすます気なら、ガーデニングの楽しみ、意義が半減する。

 かろうじて、苗を買わずにすみそうである。昨年、分けてあげた人たちにはがっかりさせてしまった。ただ、メインのスミレ科の花が減り、ふち飾りのスィート・アリッサムが極端に増えてしまった。が、ひと苗での花の数なら負けはしない。白と赤と紫が咲き乱れて、芝桜以上の絨毯を敷きつめるだろう。スィート・アリッサムは大根やキャベツと同じ、アブラナ科の植物である。

 雨が降り始めた。降るたびに冷たくなる。足元には電気ストーブ、さらに冷え込むとファンヒーター、今日は疲れ果てた祝日だった。勤労感謝の日なんて、ぼくには毎年ガーデニングデーである。来週は息子といっしょにマトリックス、全部の片付けは来々週である。

 雨降りになったから、やっぱり今夜はミステリーだ。