Harvest
 秋茄子は嫁に食わすなと、古からの言い伝えがある。実に意地の悪い言葉のようでもあるし、自給自足の貧しい時代のまれなる馳走であったかのようでもある。

 画像は摩訶不思議な自然現象である。一つの花に五つの実が揃って成った。我が家は五人家族である。ちょうど先月の20日、北海道家族旅行へ出かける前、茄子の剪定をしておいた。よい秋茄子を成らせるためには、お盆明けごろに施肥し、思い切って刈り込んでおかなくてはならない。

 北海道から帰ってきてより、残暑は殊のほか厳しかった。9月の熱帯夜、酷暑日は史上最高を記録した。台風のおかげでようやく今日、最高気温が30度を切った。コスモスの花も開き、そろそろ秋の気配がしのびよってきたようだ。

 今年の秋茄子はいつになく細身だ。つやがよく、ひきしまっているといってもよい。残暑の厳しさと土の乾き加減のせいかもしれない。トマトの双子を見ることはなんどかあった。が、茄子の双子は一度も見たことがない。それがバナナのように五房、ちょうど収穫の大きさになった。意地悪く嫁に食わすなという慣習があったとして、五人家族、誰が二つ食べるだろうか?

 ぼくはこれを幸運の茄子だと思う。自然からの贈り物だとも思う。けっして四葉や五葉が 繁茂するクローバー群のようではない。この茄子の色艶、見事に揃った形を見て、ぼくたちはこんなふうにつながっているのだと、少々気持ちが高ぶり、未来を見て生きていけそうな気がするのである。