厄日
 災害は忘れたころにやってくる。今日、病院にいてふとこんな言葉を思い出した。

 ここ二週間ばかり更新が滞りがちだった。怠惰であったし、多忙でもあった。

 実は車で片道50分ほどにある病院に父が入院をしていたのだ。動脈硬化による狭心症で、狭窄しかかった動脈の内科的バルーン・カテーテル手術を受けていた。簡単にいえば、狭くなった場所に金属の管を入れて、血液の通りをよくするという心臓内科のプロの手術。右足の付け根の動脈から造影剤を流し込んで、画面上で心臓内部の血管を見ながら、わずか2.5ミリの血管の中を修復した。狭窄部位は三ヶ所あった。

 本人の苦痛はたった一日だけ、術後は見る見るうちに元気になった。そして、医師の忠告を押し切って二日早く、おととい退院したばかりだった。その間、ぼくは何度も病院の往復と長時間の病院滞在を余儀なくされ、ようやく解放されたと安堵したところだった。

 経過が順調すぎた。全く安静にしてくれなかった。そして今日、プロバスクラブなる会合に出かけて、父にほんとうの災いがやってきた。階段を踏み外して、すってんころり、宙を一回舞って、踊り場でしたたか体を打った。救急車がやってきて、ぼくのところには父が倒れたとだけ連絡があった。

 心臓がパンクしたのかと思った。急いで近くの病院に駆けつけると、上記の通りだった。ドクターのいうとおりに、なんで今日、退院してくれなかったのかと腹が立ったがあとの祭り。幸い心臓のほうには異常がなかったが、手首骨折、唇裂傷、頭部打撲、右足打撲で自宅療養となった。同居復活である。

 今、ぼくは最高に疲れている。入院していた先のドクターに連絡をとり、指図を受け、謝り、救急で運ばれた病院の医師(整形外科、脳神経外科、口腔外科)三人の指示とを整理して介抱をしていた。痛み止めの座薬は妻が深夜に入れてくれる。自分の親ながらに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 20日から予定していた北海道への家族旅行もボツになりそうである。災害はたった一人に降りかからずに、いろいろなところへ飛び火する。どうかみなさん、階段を下りるときは気をつけて。