Get Down
 日本テレビの野球中継を見ていて、ジャイアンツの清原和博のテーマソングが長淵剛の『とんぼ』であることは、およそ半数の人がわかっていると思う。清原が出てくると『とんぼ』のハミングで、しばし東京ドームは盛り上がる。男の中の男といった雰囲気だ。

 が、ぼくはそんな現代版、浪花節調が好きじゃない。現ヤンキースの松井秀喜が『ゴジラ』でギャグっぽかったのと異なり、清原のイメージはまるでジャイアンツの英雄のようだ。けれど、彼は去年までの松井ほどに活躍をしていない。松井はそんなジャイアンツを出て、海の向こうのメジャーリーグへ行ってしまった。そうして、手厳しいニューヨークのマスコミ、ファンからも日本にいたときと同じように好感されている。

 清原に流される『とんぼ』は、不在なジャイアンツの四番バッターへの郷愁のようにぼくには感じられる。川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳、松井秀喜などに優るとも劣らない不屈の四番バッターへの。

 まあ、そんなことはどうでもいいこと。ある選手へのテーマソングで実に粋なものを見つけたのだ。それはタイガースのトップバッター今岡誠。今年絶好調で、セントラルリーグ初の200本安打、さらには現マリナーズのイチローの持つ、年間プロ野球最多安打記録更新の期待が高まっている。いつからはじまったのかは知らないが、少々すっとぼけた表情の今岡が打席に立つとき、バックストリート・ボーイズの『ゲット・ダウン』のイントロが流れているのに気がついた。ビートの効いたテンポのいい、何かを期待させるような、わくわくするようなリズムなのだ。それは、これまでたいていがダサかった、タイガースらしくない粋なはからいだった。

 『ゲッダウン、ゲッダウン、ウウウウウ〜』 この曲で今年のセントラルリーグのMVPは、今岡誠に決まったと言っておこう。 Get Down