ヤスクニとコイズミ
 小泉は靖国が好きである。傍目には意地を貫いているようにさえ見える。毎年、政治家の靖国参拝では物議をかもしているのだが、小泉の意志(?)は、歴代の首相とは全く異質なものだ。

 彼は自分の行動を怖気づくことなく見せることによって(実際はみょうちくりんなことが多いのだが)、一国の首相たるものかくあるべきと知らしめているようでもある。

 小泉の経済音痴はいまさらのことではないし、ブッシュの戦争好きは初めからわかっていたことだ。世間は初めに政策ありきではなく、揺るぎない言動、泰然自若たる態度、見た目にかっこいい人物を望んでいる。日々メッキははげかけているのだが、代わる人材がいないから小泉の声の大きさはまだまだ続いている。

 資本力増強のため、三井住友フィナンシャルグループが、1500億円の優先株の引き受けを米ゴールドマンサックスに依頼した。三井住友にとっては生き残りをかけたものだったのだろうが、その優先株に4.5%の配当をつけるとは。預金の利息が0.001というスズメの涙だというのに。

 これで国家を代表する金融機関のなかで、独立した企業の体をなしているのは、都市銀行では東京三菱、証券会社では野村證券だけになってしまった。日産自動車のように外資の力で企業再生が図れればいいのだろうが、ともあれ欧米の日本侵略図は着々と描かれつつある。エコノミック・アニマルと揶揄されながらも、欧米を震撼させていたわが国の企業魂はどこへ行ってしまったのだろう?

 小泉の掲げた景気回復、日本再生のシナリオは、ただの絵空事になりそうでもある。回復どころか、中小企業の不況の深刻さは増すばかりだ。小泉が構造改革という自分のシナリオを信じているとして、またそれが正しいとして、国民はそれを信じてこれまでどおり支持して辛抱できるのか、難しい局面にきていることには違いない。

 小泉の靖国参拝は暴挙だろうか?周辺国の批判を心得ていながらもあえてやっているような気がしてならない。参拝の時期をずらすなど策を弄しているかにあるが、本気でそのつもりでやっているなら小泉は馬鹿だ。国交は正真正銘のイエスかノーかで、日本的イエスとノーはすでに通用しなくなっている。

 で、僕はヤスクニには行かないほうがいいと思う。行きたければ首相を辞めてから行けばいい。そんなことより国内外に難題が山ほど残っており、よけいなことに時間を取られているときじゃないと思うからだ。自民党は小泉で票は取れるが、景気回復は彼には不向きだということを推して知るべきである。

 それにしても昨今の学生に気概がなくなった。学生であるからこその、真実を問いかける英知ある発言というものがあったはずなのだが・・・・・。