SMBC考
 米ゴールドマンサックスが、SMBC三井住友銀行から1500億円の優先株増資引き受けたことは昨日述べたとおりだが、年間4.5%の配当について新たな事実がわかった。1500億円の4.5%は確定のもので、67.5億円を25年間にわたって支払い続けるというものだった。計算してみると、累計配当は1687.5億円となり、優先株増資の額を優に上回る。さらに現状、住友生命保険の4%を上回り、7%を持つ三井住友銀行の筆頭株主にもなる。今後持ち株を増やして、発言権を強化することも可能だ。

 最近の三井住友銀行の顧客対応について、僕は非常に憤りを感じている一人だ。が、上記のことだけなら癪に障るがそっぽを向いていることもできる。我慢ならない点は、25年間の4.5%の配当について、その間三井住友銀行が倒産したとき、政府の支払いの保障がついていることである。

 そんなことなら政府が足らずを資本注入すればいいではないかと、僕は野村の課長と話したのだが、政府はできるだけ企業の自努力で銀行再生を図らせたいという思惑だという。実にちんぷんかんぷんな話で、滅茶苦茶な道理だと僕は思う。野村證券の課長も僕と似たような気持ちだった。お互い胸くそ悪くて、腹いせに空売りをかけてやろうかと思ったのだが、リスクは僕だけがひっかぶるのでやめておいた。彼が言うには国有化になった場合、穿った見方かもしれないが、頭取以下役員は引責辞任をさせられる、それを逃れたかったのではないか・・・・・、旧財閥系企業の役員の身勝手な考え方だ。実に政府も銀行もふざけている。

 1980年代後半、バブル期前後、どれほどの中小企業が銀行株を持たされた(買わされた)ことだろう。融資を受ける際、有無を言わさぬ銀行の命令において・・・・・。三井住友銀行の前身、住友銀行、三井銀行、太陽神戸銀行、その三行の当時の株価は、今回ゴールドマンサックスが引き受けた株価の十倍だった。うまく売り逃げることができた企業はまずあるまい。いまだ膨大な含み損を抱えているところがあるかもしれない。銀行株の下落によって、倒産した企業がある可能性だってある。企業は融資を受けるために銀行株を売ることを許されなかった。そうして、持ち合い解消という名の下に切り捨てられ、倒産していった中小企業がどれだけあることか。その悲惨さを、国民の税金注入で支えられている銀行の連中はわかっているのだろうか。

 近くにその腹立たしい銀行しかないことが、よけい僕を苛立たせている。