耐寒ゴルフ
 吹き荒れる風、摂氏一度の凍えるような寒さ、楽しいとか面白いとかそんな範疇を超えて、苦痛との戦いだった。およそ5時間半、時給二千円もらえるとしても、ただ歩くだけでも断る学生のほうが多いだろう。夜のうち凍った氷は解けることなく、日陰のフェアウェイ、グリーンはコンクリートのようだった。

 だから、ナイスショットをしてもグリーンを大きく跳ねて、アウト・オブ・バーンズへ行き、誰も彼もスコアは滅茶苦茶になった。それでも途中で切り上げず、最後までラウンドしたのはコンペティションだったから。どうにか90でラウンドした僕は3位に入賞できたが、うれしいこともなんともなかった。ただ疲れ、明日風邪をひかないことを祈るばかりである。一人肉離れを起こし、もう一人は眩暈がしてリタイアした。耐寒ゴルフは忍耐ゴルフでもあったわけだ。

 手前の池に入ったと思ったボールが飛び跳ねてグリーンに乗り、バーディーが出るなどということは、通常ではありえないことだ。疲れきった体で画面を見ながら、金輪際耐寒ゴルフなどというあほなことはやめておこうと省みている。冬のゴルフは、朝の天気を見てからするべきものである。