翻訳者
 スティーブン・キングの「デッド・ゾーン」を読んでいる。この作品もこれまでとたがわず、僕を楽しませてくれている。

 ところで翻訳者だが、吉野美恵子さんという女性だった。彼女の年齢は現在58歳だが,翻訳したときは40歳を過ぎたばかりのころと推測される。

 そのときの彼女の容貌を知らないのでなんとも言えないのだが,ある日本の女性がキングになり代わって語っていると思うと,一言一言に何かしら微妙な楽しみを抱いてしまう。話が進むにつれ,一行一行に興味津々となってしまうのだ。

 作品の中で彼女は,世間の男の汚らしい,猥雑で、性的な文句を、実にうまく日本語に表現している。それには男友達の適切なアドバイスがあったのか,それともこれまでの人生の耳学問で覚えたのか,僕は100ページほどを読むまでは、翻訳者が女性だと気づいていなかった。