スティーブン・キング
 最近,テレビはスティーブン・キング漬けである。「ローズ・レッド」「悪魔の嵐」「IT」、テレビドラマ版の「シャイニング」。「IT」の180分以外は,270分である。2〜3夜連続をビデオに撮っておいて,まとめて見ている。

 おかげで寝不足がひどくなった。午後のティータイムでは居眠りをするし,朝の目覚めが悪くなったようだ。でも、朝食時,しんどそうにしていると,「あんな怖いビデオを見るからよ」と言われそうなので,暑さにも負けず空元気を装っている。

 日曜日のゴルフの月例杯は,スコアなんてものじゃなかった。雨は降らなかったが,台風の影響で暴風が吹き荒れ,お気に入りのブラックのターミネ―ターの帽子が、波打つ池へ飛ばされてしまった。あれは「悪魔の嵐」を見たせいだった。フェーン現象による高温が、睡眠不足の脳にひどい影響を及ぼしていた。僕はターミネ―ターの帽子を追って、危うく池の中へ身を投げるところだった。あの場所は10年前,三菱ギャラントーナメントの観客席設営で,潜水夫が溺れ死んだところだった。とにかくここ10年間のワーストスコアを叩いてしまった。

 「IT」はピエロが悪魔だ。昨夜ピエロの夢を見た。ピエロが風船をあげようと近寄ってきても,少年の僕は怖気づいて逃げ惑うばかりだ。「おいで、おいで、いいものあげるよ。怖がることなんかないんだよ」 そう言われれば言われるほど,ピエロの赤い鼻が恐ろしく見えてくる。僕を押しのけて,幼なじみのSちゃんが風船をもらっていた。Sちゃんは得意満面の笑みを浮かべて,僕を見下ろしていた。

 「どうした,きみはいらないのかい? K君。わっはっは」ピエロはピエロのように笑っていた。

 「なんで僕の名前を知ってるんだい?」

 「ピエロは何でもお見通しだよ、K君」

 今朝,僕がどんな目覚めかたをしたのか、それは言わないでおこう。夢にうなされたかどうか、それは僕自身が知るすべがない。目覚めたとき,僕の体は凍りつくほどに冷たかった。

 明日の夜は「シャイニング」だ。これは映画で見ているから内容はわかっている。スティーブン・キング自らが脇役で登場するらしい。あさっては映画の再放映,「スタンド・バイ・ミー」 しあさっては「痩せゆく男」。番組のデザートは徐々に秋に近づいていく。「スタンド・バイ・ミー」は恐怖の四季、秋冬編である。

 長い夜まなこ見開き恐怖見る
       眠り忘れてキングのとりこ