THE OPEN CHAMPIONSHIP
第131回全英オープンゴルフ選手権 決勝ラウンド3日目
( July 18-21 Muirfield Scotland )

 この日は全英オープン特有の大自然が牙をむいた。雨という予報に反し、午前中は時折太陽も顔を出す天候。しかしそんな矢先、北西方向から鉛色をした大きな雲が急接近し、それに伴い風も次第に強くなり始め、上位陣がスタートする頃には、強風に加え横殴りの強い雨が降り、そして気温は指先の感覚が無くなるほど下がっていた。

 これにより上位陣が序盤から次々とスコアを崩し、逆に前半にスタートした選手がスコアを伸ばし,上位陣と顔をならべた。それによって,大会3日目はまさにサバイバルゲームと呼ぶにふさわしい厳しい戦いとなった。

 残念ながら日本の丸山茂樹も4つスコアを落とし,首位のアーニ―・エルスと3打差の3位タイとなってしまった。スコットランドの大自然の牙をまともに受けた極めつけは、タイガーウッズとコーリン・モンゴメリーで、81と84を叩いて優勝争いから脱落してしまった。

 私は夜を徹してこのサバイバルゲームを見ていたが,前半にスターとした選手と後半にスタートした選手とのプレイ条件の差は甚だしいもので、ゴルフというスポーツのアンフェア―さをしみじみと感じてしまった。フェアウィをとらえたと思ったボールが強風により深いラフに流され,入ったと思ったパッティングがカップに蹴られた。

 今夜の9時から最終ラウンドがテレビ中継されるが、スコットランドでのゲームは自然との戦いであり,己との戦いでもある。誰に期待するでもなく,今夜はほんとうのゴルフというものを楽しもうと思う。ただ一人孤独で,誰ひとり味方がなく,アンフェア―を受け容れながら,黙々とプレイする選手を見守るのだ。さて,勝利の栄冠は誰の手に渡るのか,私はスコットランドの観客のように、一人一人のプレーヤー全員に拍手を送りたいのだ。

 奇しくも寝不足の今日のラウンド,月例杯で80ストローク、久々にいいプレイができた。猛暑は厳しかったが,夜を徹して見たメジャープレーヤーたちのプレイが,私のイマジネーションとなり,長らく続いた不調から脱出させてくれそうになってきた。どうやら今夜も眠れそうにない。