Crocus
 クロッカス (アヤメ科)

ダッチ・クロッカス[ビクトル・ユゴー]
 
 クロッカスといえば春の訪れを告げる花として、早春の花壇に咲く姿がまず連想されるが、さわやかな秋空の下、あるいは厳しい冬のさなかに咲く種も含まれる。約80種の存在が確認されており、サフランもその仲間である。主として地中海沿岸からトルコにかけて分布する。属名のクロクスは、ギリシャ語のクロコス(サフラン)あるいはクロケ(糸)に由来し、糸状の柱頭にちなんだものといわれる。

 クロッカスは地上に伸びる茎はなく、地下に短縮肥大した茎としての球茎がある。花は陽光を受けて温度が上昇すると開き、夕方あるいは曇って温度が下がると閉じる。耐寒性の強い植物で、花壇、鉢植え、水栽培に広く利用される。また、開花期が種によって異なり、秋から春にわたるが、大きく分けると秋咲き種と春咲き種になる。

 サフランは紀元前15世紀ごろ、すでにクレタ島で栽培されていたことが、同島の遺跡の壁画からうかがえる。柱頭部から香味料を得るために栽培されていたようである。また、旧約聖書のソロモンの雅歌にもサフランの名は見られる。

 サフランは、その柱頭部から取れる薬用成分が目的で栽培の歴史があるともいえる。通経、鎮痛、鎮静などの生薬として、また香味料や化粧品、食品の着色料などに用いられてきた。この柱頭部を採取するには、球茎を室内に並べておき、開花させる方法がとられている。土中に植えなくても咲く性質を巧みに利用しているわけである。この特徴は観賞用として、水栽培、あるいは水盤、浅鉢など適当な容器に水ゴケなどを敷き、その上に球茎を置いて育てるのにも生かされている。この場合は、花が終わったら地植えにして、球茎の肥大を図る。

花言葉 ・・・・・・・ののしってはならない。
黄色の花 ・・・・・・・私を信じなさい。
紫の花 ・・・・・・・私を愛したことをあなたは後悔しているでしょう。
空色の花 ・・・・・・・信じてはいるが、心配でならない
赤い花 ・・・・・・・愛されすぎて心配である。