クレマチス (キンポウゲ科)
Clematis



 いちばん作ってみたい庭、それはクレマチスガーデン。気品あるホワイトを中心に、さまざまなクレマチスを四季折々に咲かせてみたい。洋の東西で美術の主題となっており、クレマチスの花に囲まれた庭での暮らしは、なんと優雅な趣きなのだろうと憧れてみたりするのである。

 クレマチスは、キンポウゲ科クレマチス属で、つる性宿根草の植物である。クレマチスという呼び名よりは、「テッセン」という名で広く一般に知られているが、テッセンは江戸時代に中国から渡来し、茶花として愛された白い花弁に紫色の弁化したおしべを特徴とするクレマチスの一品種(原種)のことである。よく園芸店でテッセンの名前で見かけるカラフルな花色の鉢植えはクレマチスで、その殆どは古からのテッセンではなく他の品種だ。それほどテッセンは、日本人に昔から親しまれていたともいえる。(「クレマチス」は、テッセンを含め、様々な品種にたいする総称名として用いる)現在のクレマチスの多くは、日本の自生種「カザグルマ」が、ヨーロッパに渡り外国の他種との交配により品種改良され、日本に戻って来た。近年では、国内でも育苗業者や愛好家により新しい品種が次々と作出され、色彩や花形がとても豊富となり、四季咲き性のものも多く、春から晩秋まで楽しむことができる。

 クレマチスの花色には、紫・青・白・赤系等の単色の物から、他の色の筋が混ざるものなどがある。花形は多くの品種は一重で、時折八重のものや、開花時期や成育状況などにより八重が混ざる半八重のものが見うけられる。花弁(実際には、がく片)の形状は、先が丸いものや刺のように突き出したもの、花弁の周囲が波うったようになるものもある。このように、クレマチスは品種改良によって種類がとても豊富なので、其々の特徴の違いを楽しむことができる。クレマチスを鑑賞する上での仕立てかたには、フェンスや垣根に這わせる方法(手間があまりかからない)や、日本古来からのあんどん仕立て(朝顔で用いる鉢仕立ての方法で、あまり場所をとらない)、最近ではバーコラやコンテナ、ロックガーデン仕立てで、周囲とのマッチングを楽しむ向きも増えてきた。クレマチスは、開花鉢を購入して楽しむのが通常だが、挿し木で意外と簡単に殖やすことができる。苗木から立派な成木に育て、たくさんの花を鮮やかに咲かせるのも楽しみといえる。

 クレマチスは乾燥と高温に弱く、寒さには強い。真夏の管理は、鉢植えは半日陰、地植えされているものについては、午後の強光が当たらないように注意してやる。また、病虫害に侵されやすい。特に立ち枯れ病という病気で、薬剤散布を定期的に行い予防に努める。アブラムシやカイガラムシなどがよくつくので適切な薬剤散布を心がける。また、冬季には多すぎる枝を整理し、バラなどと同じように剪定をかならず行う。

 花言葉 高潔