8303
 本日、5年前破綻した旧長銀が新生銀行となって東京証券取引所に再上場をした。公募価格525円に対して、872円の初値がついた。

 思えば金融危機の真っ只中、政府は8兆円の金融支援を行って、長銀の不良債権処理を進めた。買収先には米リップルウッド社など外資に決まり、およそ1.200億円で売却された。実質4兆円足らずの公的資金が使われ、国民一人当たり4万円の税金が投入されたことになる。ルップルウッド社はおよそ5年間の再建で、今回の上場により9.000億円の利益を得るという。そして、そのキャピタルゲインについて、国内での課税はできないという。ふざけた話だ。日銀が購入して、再上場の利益を国家に還元すればよいではないかと素人目には思える。が、旧態依然とした役人、公僕たちには無理なのだ。つぶれかかった場所で、冷徹にドライに金融ビジネスができるのは外人だけだ。日本人は守りに重きをおく。その守りが崩れたとき、とうに道しるべは失っていたのだ。

 一体全体、公的資金なるものの総額はどれくらいになるのであろうか? 国民一人当たりに換算すると、どれほどの搾取がなされたのであろうか? 散財といってもよい。返却できない借金かもしれない。

 不良債権処理とは、かたをつけてなんぼの世界だ。適正価格の2割引や3割引じゃない。5割引でも半額でもない。買ってくれる相手の言値であるといってもよい。米金融機関ゴールドマンサックスは、いつの間にか二番目の日本のゴルフ場所有者になった。100億円ほどもかけて作られたゴルフ場が、たった5億円ほどで売却されているからだ。ゴルフ場はバブル時の不良債権の象徴、株は値をもどしつつあるが、ゴルフの会員権の下落はとどまるところを知らない。5.000万円がたったの50万円などはざらである。ローンを払いきらぬうちにゴルフ場が倒産して、いまだローンの支払いを強いられている御仁だってあるのだ。金融列島乗っ取りへの警鐘は、本日の8303なのかもしれない。