Jieitai
 戦争を知らずに育った世代が、「戦争反対」を唱えて学園紛争をした。いわゆる団塊の世代の全共闘の時代。果ては連合赤軍浅間山荘事件、よど号ハイジャック事件へと及び、20世紀末にはほぼ崩壊した。あの連中は雲散霧消したといってよい。夢破れ、年を食ったのである。

 自衛隊は見る限り、Army である。日本だけが軍隊ではなく、自衛隊と呼称しているだけである。戦争を体験した人々、戦争の時代を生きた人々の目には、自衛隊というものはどのように映っているのであろうか?

 戦争とはどんな奇麗事を並べたてようと殺戮だ。人の命を奪い合う、最も人類の汚れたむごたらしい歴史だ。自衛隊員の殉職は一人二億円だそうである。命をお金で計ることは、昨今に適合したものであるのかもしれない。一兵卒の命の値段が、赤紙のはがき代としか思われていなかった太平洋戦争のころよりは進歩しているのかもしれない。

 自衛隊のイラク派遣が何事もなく無事終わり、帰還すればめでたしめでたしなのであろうか? 否。いったん、アーミーが動き出したということは、改憲への道しるべになる。軍備を整えることが暗黙の了解事項ともなる。

 戦争を知らない世代が、戦争のない時代に戦争を反対した世代が、自分たちより若い世代の自衛隊員を戦地へ送っている。敵から攻撃があったとき、自衛隊員は反撃できるだろうか? 人を殺したことがないものが敵を殺せるだろうか? 彼らの神経が疲弊し、麻痺したとき、怖ろしいことが起きていくような気がする。

戦争を知らない子供たち