ミステリー
 ミステリーが好きだ。ミステリーの中でも海外のもののほうが好きだ。かつて、アガサ・クリスティーやエラリー・クィーンを愛読していたときのように、本格的な探偵小説、ミステリーが好きだ。レイモンド・チャンドラー、コリン・デクスター、メアリー・W・ウォーカー、そして今は、パトリシア・コーンウェル、トマス・H・クックの作品が好きだ。

 宮部みゆきや島田荘司、乃南アサなど日本の作家もよく読んでいる。読破した作品の多さでは和洋を問わず、横溝正史を上回る作家はいない。

 なぜ海外のミステリーが好きかというと、それは厳選されたものしか翻訳されないという傾向にあるからだ。文学にしてしかり、古典を除けば、面白くもなく売れそうもないものを店頭にならべようと出版社はしないだろう。それでさえ、年々海外作品の売れ行きが減少傾向にあるのだから。

 毎年アメリカでは、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞、(最優秀長篇賞、最優秀処女長篇賞、最優秀ペイパーバック賞、最優秀短篇賞)が発表される。またイギリスでは、英国推理作家協会(CWA)賞、(ゴールドダガー賞(最優秀)、シルバーダガー賞、ジョン・クリーシー記念賞)が発表される。その歴史にはアイラ・レビンの「死の接吻」、チャンドラーの「長いお別れ」などがあり、「ホッグ連続殺人」「推定無罪」「十二人目の陪審員」「検屍官」「処刑前夜」「緋色の記憶」など娯楽大作の宝庫でもある。読みはじめたら眠れない、そんな作品に何度となく出会ったものだ。

 いま、2002年のMWA最優秀長編賞「サイレント・ジョー 」(T・ジェファーソン・パーカー 早川書房 )をひもとくところである。海外の面白いミステリーを読みたいと思ったとき、どうやったらそれを探り当てられるのか。人の好みはさまざまだから、本当に面白いものを読み逃がしてはつまらない。しかも、どんな作家の作品にも、いいものとそうでないものとがある。とすれば、歴史あるMWA賞ならびにCWA賞の年譜を検索してみるのもいいだろう。もしくはハヤカワミステリー・ハンドブックなどを参考に、読者やミステリー作家が選ぶベスト100なるものの解説を読んでみるのもいいだろう。レイモンド・チャンドラーとコリン・デクスターはハヤカワミステリー・ハンドブックで知った。パトリシア・コーンウェルとトマス・H・クックはMWA賞で知った。ミステリー好きのぼくにとっては大正解であったのである。

 秋の夜長にどきどきはらはらのミステリーを。