マトリックス レボリューションズ
 しきりに息子は見に行きたがるが、ぼくはあんまり気が乗らない。週末が混んでいるからでもあるが、あの手の映画の続編にはたぶん辟易すると思うからだ。1999年に公開された第一作の「マトリックス」、娯楽的には楽しめたものの、その無機質さにうんざりしたことも事実だった。そして、今年の「マトリックス リローディッド」は、前作を上回る大ヒットだった。が、四年足らずを経て、ぼくはその連続性を忘れてしまっていた。ネロとトリニティにくらいしか覚えていなくて、聖地ザイオンや救世主の預言のことなどは初めて知るストーリーのようだった。かなり頭を使いながら、娯楽という映画を一生懸命に見た。スミスとネロの戦闘シーンの繰り返しには、いい加減うんざりした。

 これまでの常識を覆すかのストーリー、驚愕の視覚効果がこの映画の持ち味なんだと思う。レボリューションは革命の意味で、独創的イマジネーションと哲学的思想を盛り込んだ人気SFシリーズ完結編というのがこの映画のうたい文句だ。が、そんなむずかしいことなんか考えず、理屈ぬきでスクリーンに映し出される映像を楽しむことができれば十二分なんだろう。

 テレビCMで少し見たネロとスミスのカンフーのような戦闘シーンは、本番では、再度ぼくにはしつこすぎるだろうし、無限に増殖するスミスを見るのに辟易するだろう。そして、きっと元来SFというジャンルがあまり好きではないことを実感する羽目になる。でもこれくらい、よそよりもずっと少ない家族サービスである。来々週の土曜日あたり、神戸国際松竹へ行かなければと観念している。ついでに北野坂辺りで、うまいものでも食わしてやろう。かみさんには大丸かそごうでカシミアのセーターかヴィトンのバッグでも買ってやろう。亭主元気で留守がいい、財布の紐弛めて贅沢三昧がいい。うん、そんなこと誰が言った? すべからく幻想の世界であるというのに・・・。