代表取締役
 社長になった。国民年金を夫婦別々にかけるのがいやで、国民健康保険が高いのがいやで、月給10万円の代表取締役になった。もちろん、最低資本金300万円を捻出して、法人の有限会社を設立した。が、それは個人の預金通帳から法人の通帳へお金が移っただけのことである。また、名刺なんかは作っちゃいない。社長といったって、ちっともえらくなんかないのだから。

 会社設立に30万円ほど費用がかかった。法人としての税が、赤字黒字に関係なく、年間6万円必要である。が、そんな諸費用もおよそ2年で元がとれる。自営業か法人であるか、ただそれだけの違いで、社会保険料の支払いが、10年間でおよそ300万円ほど少なくなる。むろん、これは脱税などではなく、節税の部類である。後々に受けとる年金においても、国民年金より厚生年金のほうがずっと多い仕組みなんだから、国民年金を滞納する国民がふえるはずである。

 国保は収入だけでなく、家族数、固定資産税やその他もろもろのものを勘案して決められるのに対して、健保は法人での月収のみにおいて納付額を決めることになっている。当然10万円の収入では食っていけないから、青色申告のほうでの残りの収入をとっている。みなさん、このことはご内聞に・・・。