日本人が国債を買う理由
 不良債権処理とデフレ不況に苦しむ日本国政府が、毎年30兆円以上の国債を発行しているのは周知の事実だが、昨年個人向け国債が発行され売れ行きは上々だったという。10年物で利回りはたったの0.09パーセント、総発行額は3.800億円だった。これに気をよくしたのか財務省は、平成15年度は、年4回で1兆5.000億円ほどの個人向け国債の発行を予定している。

 なぜこれほどの大量の国債を、0.09という低金利で発行することができるのか? なぜ国民はそのような条件で国債を買うのだろうか? 為替変動はあるというものの、たとえばオーストラリアドル建てMMFを購入すれば、年金利4.5パーセントほどが得られるというのに。オーストラリアはもちろん、カナダにしろニュージーランドにしろ金融における国家財務の格付けは日本より上位にある。世界情勢を鑑みて、三国はともに国債の発行額が少なく、何より自給自足ができる資源国である。だから、当面為替変動はリスクではなく、円安によるプラス要因となっている。日本経済の低迷により、この2ヶ月足らずで豪ドルは70円から77円にまで上昇した。市場のコンセンサスでは、対米ドルおよびポンドを除く世界通貨では、円安の傾向はますます強まり、20年前の対豪ドル200円が視野に入ってきたようだ。

 また、世界金融筋では、経済音痴な政府高官、財務省連中を更迭し、「りそな」国有化のようなことを安易にとらまえず、氷山の一角として死に物狂いで金融対策に取り組まなければ、早晩アルゼンチン現象が日本にもありうるとまで警鐘を鳴らしている。

 で、それでもデフレ不況に苦しむ日本人が、なぜそのような国債を買うのか? それには4つの理由が想定される。

 1、国民(概して高年齢者)が大量のお金を保有している。
 2、政府以外にお金を借りようとする人がいない。
 3、政府を信用している。江戸時代の徳政令のように借金を踏み倒したりしないだろうと信じている。
 4、デフレで金利がないに等しい。つまり物より現金の価値が上がっている。

 まるで負の連鎖のようだが、上記の4点が積み重なって国家の財政状況の悪化にもかかわらず、超低金利で大量に発行される国債の魅力(?)が増し、販売絶好調現象を生んでいるのである。

 ちなみに僕は日本人だが国債は買わない。100万円を10年拘束され、金利合計たったの9.000円(税引き前)じゃあほらしすぎる。10年間道歩いてりゃあ、1万円くらい拾うわい。とはいったものの詰まるものがないんだけど・・・・・。