セキュリティー
長年使いなれた自宅の電話番号を変えることにした。
日々の親子を問わぬ勧誘電話にうんざりしたからだ。
「NO!」で簡単にすむ相手だけならいいが,
しつこすぎる半端じゃない相手には辟易させられる。
土曜日にはあまりに腹がたったので,
子機を持ってすぐそばの交番まで行ったものだ。

考えれば、いまの電話番号は,過去にも数多くの名簿に載っていた。
お金を払って買わされた高校の六十周年の分厚い名簿なんて,
役にたつどころか煩わしいだけだ。
小学校の名簿を売買する時代なのだから、
どこかの奴等がうちを捜してもおかしくはない。

NTTに番号変更の書類を送った。
2500円の出費などしかたがない。
番号を変えるとこれまでの糸がぷっつりと消え,
私の名前は知人以外に存在しなくなる。
そのことに不便さは感じない。
それよりも、そのことによって過去のしがらみが消える喜びを感じるのだ。

これからはカントリークラブの名簿にも
小学校の名簿にも自宅電話は記載しない。
学校なんていちばん信頼できないところだ。
携帯の番号を教えるだけで十分である。
もちろん携帯でも非通知着信には絶対出ない。

嫌な時代になったものだと感じるのは,
私が年をとったからだろうか?

とにもかくにも個々人の背番号制なんて真っ平御免と言っておきたい。
役人に個人のセキュリティーを守りきる能力と忠誠心があるとは思えないからだ。