生命
昨夜、蝉の誕生のさまを見ていた。
土の中から這い出してきた茶色い虫が
木を登り,いつしか動かなくなる、脱皮のはじまりだ。
その間二十分ほど,形が全くの成虫になるまでにはそれから一時間以上かかる。

闇の中に輝いて見えるその新たな生命の誕生は,
実に神秘的であり、淡い緑色した羽は神々しくもある。
蝉は成虫になってわずか三日ほどの命だという。
孵化した幼虫が成虫になるために土の中で六年ほどを暮らすというのに。

暑い夏を蝉が鳴いている。
束の間の命を謳歌するように鳴いている。