Bellis perennis
  デージー (キク科)


 春花壇の女王であるパンジーが、色とりどりの華やかさを特徴とするのに対して、デージーは花色の変化こそ乏しいが、強健さと乱れない草姿で、パンジーに次ぐナンバー2の地位を占めている。

 デージーの名は、「太陽の目」 Day's eye から派生したといわれ、太陽のもとで花を開き、曇りの日や夜には閉じる姿から名づけられている。和名のひなぎくもやさしくかわいい草姿をよく言い表しているし、長命菊、延命菊,時不知などの名は、花期の長さ、生命力の強さから生まれた名である。

 属名のべリスは、ギリシャ神話に登場する森の妖精ベリデスに由来する。ベリデスは美しく、若者たちの憧れの的。ところが、果樹園の神ベルタムナスがあまりにもしつこく追い求めるので、その煩わしさから逃れるために、小さな花にわが身を変えてしまった。その花がデージーだといわれている。

 デージーは、本来は宿根草だが、夏の暑さに弱いので一年草扱いにするのが普通である。種子は細かいのでピートバンなどに蒔く。冬までに株を十分に生育させるため、8月から9月初旬にかけて蒔く。発芽適温は20度前後なので、涼しい場所において発芽させる。

 デージーは、こぼれ種でも簡単に発芽し、庭で半野生化するほどだが、他家受粉植物なので親と同じ花は咲かず、代を重ねるにつれて原種の姿に戻っていく。品種本来の花を咲かせるには、毎年種子を購入して、種を蒔く必要がある。