年齢のギャップ
 ぼくがいちばん年齢のギャップを感じるのは、ポップスでもなく、芸能人でもなく、もちろん肉体でもない。

 ぼくは少年のころ、漫画少年だった。近所の書店のおばさんに子供がいなかったので、ぼくはたいそうかわいがられて、好きなだけ漫画の本を読ませてもらったものだ。

 そのぼくが、今の世間でいちばん知識がないのが漫画なのである。漫画だけは読んでいないと自分のなかに知識として入り込んでこない。

 もう今さら読む気はおこらないが、漫画の話を訊くたびに、ぼくはその人たちと年齢のギャップを感じてしまう。少年のころ、ぼくは誰よりも漫画少年だったからだ。