地球儀
 とっても古い地球儀を見ている。アフリカのほとんどが欧州各国の植民地のものだ。独立国はエジプトとモロッコ、アルジェリアぐらい。南アフリカは独立していたが、少数白色人種の最も劣悪な差別国家だった。

 けれど日付変更線は変わってはいない。北はベーリング海峡から、オホーツク海にかけてくの字に折れ曲がり、それから太平洋をまっすぐに下りてくる。現サモア辺りが入り組んでいて、変なかたどられかたをしているが、現トンガ、フィジー辺りからは南極まで一直線だ。

 トンガが最も一日の早い国、サモアがいちばん遅い国になる。ベーリング海峡で向かい合った二つの大国を除けばの話だが。トンガの南南西ニュージーランドの北島に娘がいる。ホームステイで語学留学に行っているのだ。広い空間、太平洋の只中にぽつりとあるこれら南洋の島々、国々を見ていると、うっとうしい世界のニュースなど全然関係がないようにみえてしまう。広々として、途方もない優雅さだなと思えてくる。娘は毎日水平線を眺めながらどんなことを考えているのだろう? コンポからは陽水のCDが流れている。

 冷たい部屋の世界地図
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