ダイエー球団の身売り
 福岡ドームで西武ライオンズとの首位争いをしているさなか、ダイエー球団の身売り報道に王監督が激怒しているとある。球団の中内正オーナーは、ありえないことと強硬姿勢を崩さないが、彼自身がオーナーとして存在していることこそありえないことだ。

 バブル期、スーパーダイエーは創業者中内功氏の道楽のような野望のもとに、福岡三点事業(プロ野球、ドーム球場、ホテル)を遂行した。それはすべて借入金でまかなわれ、約6.000億円という巨額なものだった。そのビジネス(?)はダイエーが債務超過にいたった額の約半分ほどと推定される。

 球団オーナーの中内氏が保有する球団株式の40万株(約半数)は、1株1円、たった40万円で父親から譲り受けたものらしい。昨年、TBSはマルハ(旧大洋漁業)から横浜ベイスターズの球団株51%をマルハから取得し、ベイスターズの球団オーナー企業となった。その取得金額はおよそ120億円といわれている。中内氏から当時の国税局は贈与税をとったのかどうか、はなはだ疑問が残るところだ。

 ダイエーの主力銀行はUFJ銀行である。同行は昨年政府から公的資金(国税)の注入を受け、どうにかこうにか基準の自己資本比率を保っている状況である。いわんや、間違いなく倒産だったダイエーは、政府による債務免除を受け、50%の減資をし、産業再生法の適用を受けている身分である。が、適用後の初年度から単独経常利益目標を著しく下回り、政府の管理のずさんさとダイエーの経営力の脆弱さが改めて指摘されている。

 福岡事業買収に名乗りを上げた各社の提案では、球団買収を前提にした買収額は最大600億円規模で、球団を切り離した場合と比べると二倍近く高かったもようである。巨額な公的資金(国民の税金)の注入を受け、いまだ再生のめどがたたない企業が四の五の言っていられる場合か、また日本ナンバーワンだったスーパーを凋落させるにいたった創業者の次男が、オーナー然として居座って許されるものかどうか、一部の身勝手な人たちを除いて、一目瞭然自明の理の球団売却だとぼくは思う。

 道楽した金の10分の1が戻ってくる。株式会社ダイエーが去ってもホークスはなくならない。だから、ダイエーファンのかたがたはダイエーという名前にこだわらないで欲しい。公的資金で生きながらえている企業が債務のため本業以外のものを手放すことなど当然のことであって、日々迷惑をかけている国民に頭を垂れて、ダイエーは潔く、一日も早く身辺の整理してしまわなくてはならない。