ミリオンゴールドの花
 夕立のない日の夕方は、毎日花壇の水遣りをしている。前から順にスィートアリッサム,日々草,インパチェンス,メランポディウム、マリーゴールドと咲いている。今年の夏は暑いのだが,毎日の水遣りのかいあってか、インパチェンス以外は見事に咲き誇っている。アフリカ原産のインパチェンスは,雨には強いが,むし暑い夏の日ざしに弱い。あざやかさのわりには夏の日蔭を好む。

 マリーゴールドは種子を買う際に,わい性のメキシカンを買ったつもりが,まちがってアフリカンを買っていたようで,草丈が一メートルを超え、茎葉も大ぶりで、花径も十センチほどになってしまった。支柱を立てるのが面倒だったが,結果的に花壇が立体的になって,道行く人の目を楽しませている。

 今はお盆である。近所の人たちが,菊に似たこのマリーゴールドに目をつけ,繁りすぎた部分を手折ってお墓に持っていく。根ごと抜き去らない限り,常識を逸脱しない限り,花を手折る人は花泥棒という罪には問われない。

 今年の夏の収穫は,メランポディウム(ミリオンゴールド)である。発芽して育った苗はとても小さかったのだが,六月に花壇に定植して驚いた。その後二週間ほどしてから、株は成長をはじめ,二センチほどの一重の花が日々次々と咲きつづけ,今では五十センチ四方に盛り上がり,株がゴールドの花に覆われてしまうほど見事になった。酷暑に耐えて咲きつづける姿は,一糸の乱れもなく,一見してほかの草花とちがう。タキイ種苗で販売されているので,来年の花壇にはぜひお薦めである。

 エリーちゃんがイタリア旅行の報告をくれたが,僕も来年の八月はイタリア行きである。さしずめ,オリエント急行の旅を考えてはいるが,目当てはまだ模索状態である。ローマがいちばんなつかしいし,フィレンツェもすてがたい。ヴェネチアは外したくないし,一度も行ったことがないトリノにも行ってみたい。そう考えると,一週間ではとてもとても。いずれにせよ,来年の花壇には、今年のように夏の花は咲かせられない。