どうにも最低なやつら
大阪梅田駅でのことである。
地下鉄御堂筋線で江坂に行こうと
自動販売機に1000円札を入れた。
が,おつりの770円が全く出てこない。

ブザーを押して駅員を呼べばよかったのに
ときすでに遅かった。
右手の指が釣銭出口のところへ動いてしまった。
中指には唾液まみれのベチャベチャのガムがくっついて,
そのあと釣銭がジャラジャラと出てきたのである。

必要分の770円よりもずいぶんと多い。
釣銭を取ることよりも指についたガムが気持ち悪かった。
後ろではけげんそうに人が待っている。
釣銭を全部とるわけにもいかないし,
といって残りをそのままおいていくわけにもいかない。

どうにもこうにも腹がたってきた。
指についたガムを自動販売機の縁に擦りつけて,
出てきた釣銭をとろうとしたときである。
金髪のにいちゃんがやってきた。

「おじさん,釣銭は770円だよな。さあ、これ、残りは駅員にわたしとくわ」

「おい,ちょっと待て。こら、逃げるな」

「すみません。うしろ混んでいるんですが・・・・・」

どうやら最近はやりの実益をかねた悪戯のようである。
人の噛み捨てのガムが体のどこかにくっつくのは,
犬のクソを踏んづけるほどに気持ちが悪い。
あああ,ガムのねばねばがなかなか落ちてくれない。
あいつらは最近には類を見ないほどの最低のやつらだ。