アネモネ (キンポウゲ科)
   Anemone

 アネモネにまつわる悲話がギリシャ神話のなかにある。アフロディーテ(ビーナス)は、わが子エーロス(キューピッド)の誤って射た矢が胸に当たり、、美少年アドニスに恋するようになった。このアドニスが、猟に出てイノシシの牙に脇腹を刺されて死んでしまった。アフロディーナが駆けつけたとき、流れ出た血が地面にこぼれ、アネモネの花になったというのである。

 この話には異説もあって、アネモネではなくアドニスが咲いたとする説や、アドニスの血にアフロディーナの涙が混じり、赤いバラの花になった、という説もある。

 これらの神話にまつわる話などから、ヨーロッパでは古くから好まれて栽培されてきた植物のひとつである。五月末にアムステルダムを訪れたとき、色とりどりのアネモネが、花市でたくさん売られていた。切花としてとても愛好されているということだった。