同窓会
開始時間はあっても終了時間のないエンドレス。
卒業以来一度も会ったことのなかった同級生たちがいる。
一目見て誰とわかるものとそうでないものがいる。
十八歳の写真から○○年後をシュミレーションしてみても
決してそんなはずはないと断言できるほど変わってしまったものもいる。

しばらくは様子をうかがいながらも徐々に会話を交わしていくうちに,
それぞれの記憶の断片が重ね合わされ,
一つの時代を再現していく。

おとといのことは忘れていても,
あの頃の記憶は鮮明に焼きついている。
それは自分だけの世界のときもあり,
共有していた相手を見つけることもある。
そして,ある一つのことだけは、誰もが忘れていなかったのだと気づいてくる。

集合写真を撮ってから、一人減り,二人減りしていくが,
最後に残った十数人だけがもう一度濃密に記憶の断片を重ね合わせて,
一つの「時代〜ノスタルジア」が完成する。

できあがったアルバムを見ていると,
あまりな時間の経過を目の当たりに感じてしまう。
でも、あのころと少しも変わりなく、
楽しく懐かしく過ごせたきのうの束の間のほうが,
私たちの永遠の真実であったと思いたい。

記憶は前へ進みながらも後戻りを繰り返し,
自らが意図するでもなく,
大切なはずのことだけをひそかに脳裏にとどめている。
記憶は実に身勝手だが,
ふと呼び戻されたとき,素敵なほどに正直なのだ。

私の初恋の人のことを彼らはよく覚えていたが,
私の記憶はそれとは別なことをかみしめていた。
私がほんとうに好きだったのは誰なのかを・・・・・・・。