砂の器
社会派ミステリー作家、松本清張の名作である。

戦後の日本のミステリー作品の十指に入ると同時に、
野村芳太郎監督の映画作品もまたその同列に扱われて遜色ないと思われる。
芥川龍之介の三男、今は亡き、芥川也寸志の抒情溢れる映画音楽でも知られている。

また東京の友人宅での話である。
日本映画について論じ合っていた。

「そこに貼ってある東京物語はなかなかの名作らしいな」

「ふむ、一世を風靡した『君の名は』より優れていると思うよ」

「僕は『砂の器』が好きなんだが。どうだろう?」

「あれはまちがいなくいい。おまえ、最初の場面を覚えているか?」

「丹波哲郎と森田健作の刑事が二人いるところだろう?」

「そうだ。森田健作が始まりに一言、言っただろう。なんて言ったか覚えてるか?」

「ううむ、・・・・・・・忘れた」

「今西さん」だよ。だからあれは名作だ。