ICHIRO
僕は野茂や佐々木ほどに彼が好きじゃない。

ここ数年の彼には驕りを感じてしかたがなかった。
アナウンサーの質問には愚問が多かったのは事実だが、
ヒーローインタビューに答える彼の姿勢にはよく失望させられた。
彼は腹の底でこんなふうに言っていたように思った。
「馬鹿なことばかり聞くなよ。あたりまえのことばかり聞くなよ。いい加減にしろよ」
白々しい彼の受け答えが球場にこだましていた。

シアトルでは日本人記者にはそっけないことで評判だ。
彼は自分の努力でメジャーリーガーとなったのだろうが、
日本のファン、日本のメディアがどれだけ彼を声援してきたことだろう。

僕はメジャーリーグのバットマンレースには興味はない。

野茂英雄の凛々しい勇姿、
長谷川茂利の爽快な投球、
佐々木主浩がベイスターズ時代から発する大魔人のオーラ、
彼らは渡米したときみな孤高の男だった。
新庄の明るさは、彼よりファンを魅了している。

野茂英雄のメジャーリーグ挑戦の理由については語るまい。
それを語るまでもなくICHIROは野茂には及ばない。

ICHIROよ、実力におごるなかれ。
今のきみはあの伊良部となんら遜色はないのだ。