2005年03月の記事


「句読点」
入学して
卒業して
それを何度か繰り返し
それから
定年を迎える
ただひたすらの年月を
誰に咎められることもなく
誰に否定されることもなく
人生の句読点
新しい章が始まる
コメント (0)

「大地に語りて」
ささくれる地の面に
鍬をさぐる
風は砂塵を立ち上げ
大地に語る
蒔かれた種は
必ず萌えぐ
コメント (0)

「風は強く」
誰が起こしたのか
春の突風
一気に
季節が変わる
偏屈なやつの
口元もほころびている
コメント (0)

「不機嫌なまま」
へんな気分はあいかわらず
まあ
こんなこともあるんだな
たったひとりの人生
平行世界は味わえないけれど
気分は多重構造
コメント (0)

「闇は常に隣りに」
茶碗を洗う側に
空を見上げる側に
すうっと
虚無感が忍び寄り
闇へといざなう
道はない
答えはない
先はない
闇を照らす
光はない
ただ
闇をいとおしむ
時間だけが日常の隙間に
存在する
コメント (0)

「庵」
タタキから上がりカマチへと
磨かれた廊下をすべるように
左手の襖をあける
通された部屋は
懐かしきたたずまいを
本日に残す
蕎麦膳の薫り
おすすめのメニュー
コメント (0)

「風花」
花の舞いと見紛う
時季知らずの雪
山を染め
天空を染め
いたずらに惑わす
含み笑いと一緒に
駆け抜けていく
コメント (0)

「雨降る日に」
何事もなく始まる日に
何事もなく雨は降り
何事もなく
日常は終わる
あの国にも
雨は降り
何事もなく
疲れた母は眠るのだろうか
この同じ空の下で
コメント (0)

「迎え雨」
足早に
雨を踏みて
先を急ぐ
誰か待つのか
誰を待つのか
追う雨足の
急ぐ音
かけていく先は
あなたの待つ家
あなたを待つ家
コメント (0)

「東風」
受けて立つ
風の仕打ちに
輝きの一太刀
春の日は
かの人の笑みにも似て
コメント (0)

「カケラ」
コトバのカケラを蒔いてみる
お話の芽がでないかな
こころのかけらを蒔いてみる
優しさの芽がでないかな
涙の欠片を蒔いてみる
思い出の芽が出るかもしれない
コメント (0)

「卒業」
昨日までの自分を
アルバムに閉じ込めて
新しい自分を
演出してみる

昨日までの自分が
ウソのように思えて
違う時間を
織り込んでいけるように
思える時間

昨日までの自分に
ありがとう
今の自分に
よろしくと言って
一歩を踏み出す
コメント (0)

「春の音」
風の怒号と
すずめのさえずり
交差して
春の色景色
コメント (0)

「イチゴ」
ほんのりと薫る
匂い
食べてしまえば
唇は紅く

イチゴとういう名前の
女の子を食べた話
コメント (0)

「いちご」
赤いね
いちご
甘酸っぱいね
いちご
たのしいね

君のほっぺが笑ってる
コメント (0)

「雪見風呂」
湯に溶ける
雪のため息
せせらぎに乗せ
春の旅路は
まだ遠く
先触れの匂いは
露天の湯の中
コメント (0)

「春の気温」
春の気温は
バーコード
まばらな白黒
神様の管理
コメント (0)

「空白」
埋めるべきものを持たず
ただ過ぎる日々
一筋の光だけが
道標であると
あなたは言っていなかったか
その言葉だけを信じて
ついてきたはずなのに
埋めるべく空白は
いまも空白のままだ
その理由を
あなたにはわかっているのだろうか
コメント (0)

「春雪」
春の重さに
したり顔の
紅梅
落ちる白は
白粉下地
コメント (0)

「時を刻む音」
音もなく訪れる季節に
人は優しくなる
時を刻む音は
誰彼の区別なく
優しく頬をなでる
さあ
前へ行きなさい
時を刻む音は
背中を押してくる
コメント (0)

「悲しき鐘を鳴らし」
悲しき鐘を鳴らし
若き魂は逝く
絶望という名の呪縛は
その魂を
咥えて離さず
悲しき鐘の音は
誰の耳にも届かず
ましてや
生命の賛美を
怠るべくなや
若き魂を救いたまへ
コメント (0)

「友へ」
    心配しなくてよいのだよ
    わたしには
    歩むべく道がある
    歩ませる二本の足がある
    この先には
    何があるかわからないが
    友よ
    君のくれた勇気が
    武器になるだろう

    友よ
    だから、道が違えたとて
    心配するな
    目的が同じならば
    また いつか
    出会えることもあるだろう
コメント (0)