2004年03月の記事


「夜道散策」
    タマネギ色したお月様
    眺めてたまには
    泣きたい夜

    影もおぼろで薄墨色
    滲んだ街灯 神様の涙
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「春の光」
    こぼれおちるあたたかさ
    いぬのせなかに反射して
    かぜみる花のかおり立つ
    ほころぶ笑みの眩しさよ
    あなたとたたずむ春の光
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「日常の変貌」
――――群馬県立近代美術館における展示にて

日常の片鱗は吐き出された汚物として
美意識を否定しながら存在
芸術が狂気との境界線だとしたら
そこにあるものは確かに芸術なのだろう

おお、生と死の狭間にある日常よ
それすら、崇め奉られる額縁の中に
収められてしまうのだ
若き芸術家たちの熱情は
愚かなる偏移として二重螺旋を描く

「そそ、うんこもDNAも螺旋状じゃん」

莫迦莫迦しくなるほどの同一性を
見て見ぬフリをする自称常識者たちを
侮蔑しながら
日常の表裏を剥ぎ取っていく彼ら
残されたものは偽であるのか
はたまた真なのか

咥えて放さぬ狂気は
日常の隙間に巣食っている
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「命令形」――リーディングのための試作
あなたは薔薇になりなさい

         ぼくはたんぽぽになろう

あなたは大樹になりなさい

         ぼくは大地に根をはろう

あなたは輝く星になりなさい

         ぼくは太陽の光を浴びて花咲かそう   

あなたは大地を渡る風になりなさい

         ぼくはあらゆる方向にぼくの種を飛ばそう

薔薇もいずれ散る
大樹もいずれ朽果てる
星もいずれ輝きを失う
風もいずれはやむだろう

言葉のDNAは構造を変えながら
次世代へと受け継がれてゆくのだ
だれの命令も待たずに
自らの意志で、増殖し進化し
蒔かれた種が突然変異するように

ぼくはたんぽぽになろう
春の優しい光を浴びて
路傍に花咲かそう

あなたは薔薇になれる
あなたは大樹になれる
あなたは輝く星になれる
あなたは大地を渡る風になれる

たんぽぽは薔薇にはなれない
草花は大樹にはなれない
暗闇の中では何も輝けない
風を起こすのは誰だ?

ぼくは風に乗って種を飛ばすたんぽぽになる
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「ホワイトアウト」
    ポケットメーラーの
    受信箱がからっぽ

    あの人からのメールは全部
    白い景色の向こう

    捜しようにもさがせない
    コンピュ―ターが焼き餅焼いたか
    ホワイトデー
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「初鰹」
    店先で見つけた
    春の味
    尾かしらつきの一本

    さてさて
    どうさばこうか
    まな板の上

    包丁を入れる手は
    春の海の匂いを感じている
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「春の雪」
    天使の羽がつもる
    すべてを浄化するように

    雪が融ける
    芥を流すように

    水蒸気が立つ
    天に舞う春の女神のように
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