2007年05月の記事


021「近況報告」
いま
窓からあなたを見てる

いま
ソファーの上でうたた寝してる

いま
あなたの帰りを静かにまってる

いま
あなたの足音を聞いている

いま
ドアが開くのを見上げてる

いま
あなたの腕の中で丸くなって
眠っている

いま
しかない猫時間
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020「郷愁」
戦時中は厩舎だったという
木造二階建ての一角
皆といた部室は薄暗く
グランドをはさんで建つ
新校舎とは対照的
思い出は
薄暗闇と輝きの二重構造

今 故郷を訪ねれば
それらはあとかたもなく
現代建築の新しき校舎が建つ
バスの窓越しに
それをとらえる私の眼は
過去のネガフィルムを重ねて
ただ郷愁という色を塗りたくる
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019「君を待つ」
階段の三段目に座って
君を待つ
約束したわけではないけれど
きっと
来るだろうから
ずっと待っている
ひとりで行くのもかまわない
そんなことも思ってみたけれど
この路から
一緒になるにしろ
別れるにしろ
もう一度君と話がしたくて
待ってる
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018「記念日」
初夏の
草色染めし
衣替え
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017「既視感」
広告に踊らされて
CMに歌わされて
風評に走らされて
いつも
こんなだったような
まえにも
あったような
どこにいても
同じ
誰に会っても
同じ

おかあさんは
おかあさんだったのに
いつのまにか
おとうさんになっていた
ありえないはずの
既視感(デ・ジャヴ)

広告に騙されて
CMに裏切られて
風評は消えている
あれは
なんだったのだろう
こんな感じ
どこかであった
どんな時も
同じ
どんな場所も
同じ

温泉饅頭は
温泉饅頭だったのに
いつのまにか
ドーナツになっている
あたりまえの
既視感(デ・ジャヴ)
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016「数える」
昨日の数を数えても
明日の数を数えても
この手には残らない
数えるほどの恋して
数えるだけの失恋で
五分五分の人生経験
生まれてきてからも
死んでいくまでにも
書き記すことはない
数えるほどにも無い
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015「影」
走り去る車の後を追う
轍の中の長い影
春の夕日はおぼろげに
情緒不安の宵待ち時間
寄り添う影に
離れる影
揺れる影に
笑う月
闇にまぎれて見失う
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014「鍵」
キーワード
キーポイント
貴方の心を開ける
ヒントをちょうだい

鍵穴のぞくと
すまして笑っている
貴方が見える
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013「鏡」
白髪一本 シワひとつ
克明に映しだして笑ってみる

妬み一かけ 僻み一枚
映らぬよう横向いてみる

恨み一滴 嫉み一塊
見えぬよう目を瞑る
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012「回転」
春の黄色を
横たえて菜の花畑

たのみもしないのに
季節はやってくる
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011「カーテン」
時代の帳の隙間から
差し込む灯りは影創る
舞台の上の緞帳は
役者と客を遮断する
揺れる薄絹
そのむこうには
隠れた希望の
匂いする
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010「オルゴール」
カチリと金属音
回転するドラムに
音階の爪
冷たい音色奏でて
思い出誘う
ガラスの上の乙女は
どんな曲を踊ったのだった?
木工細工の風車は
どんな曲にあわせて回った?
思い出の中のオルゴールは
無音のまま
からからと回り続ける
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009「英雄」
栄枯たる歴史の礎に
その名を刻みたるひとの名を
叫ぼう
この退廃する現世に
新たなる名を見出すために
空を舞え
地を走れ
海を統治せよ
彼方からの使いは
間に合わぬ
岩に剣をたてよ
英雄の名を
叫べよ
この穢れし現世のために
「Oh! My God!」
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008「嘘つき」
暗黙の契約を交わして
大丈夫だと思ってた
突然訪ねてきた幸運は
それの証だって

温暖化防止策を
とことん極めるまで
化石化資源の開発は
やめてと言ったのに
誰も聞いちゃいない

自分のことだけ
考えて
自分の未来だけ
見つめて

ほんとのことは
誰も言わない
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