2003年02月の記事


「大天使降臨」
災禍は奇跡となり得るのか
与えられた試練と
誰しもが肯定する
とは思えない

神を恨むのは
不遜の魂
罰は快楽
決めるのは己

大天使は形を成さず
足跡のみを存在とする

「あんたがあんたのつごうだけで
人類を動かしてるだけじゃん」
コメント (0)

「戦禍」
あなたが自らの意志で
戦いへ赴くというのであれば
わたしを殺してから行きなさい

敵の母を殺すのも
わたしを殺すのも同じこと

わたしの子供たちに遺言しよう
あなたはお国のために
お前たちの母を殺したのだと

子供達は
あなたを呪うであろうか
国を恨むであろうか
コメント (0)

「反戦」
ただ生きて
ただ死す

殺されることを望まず
殺す事を望まず

憎しみを遺産にせず
悲しみを墓標とせず
コメント (0)

「開き直り」
秋刀魚の開きを
裏返す

開き直し

背開きを腹開きにする

開き直す

後ろ向きを前向きにする

開き直る
コメント (0)

「箱」
小さな微笑が
消えて
泣く事も忘れて
箱の中に
自分の心を
閉じ込めてしまわないように

小さなあの子を
守ってあげてください
祈ることしかできないわたしの
いのちを削ってもいいですから

箱の中のお骨は
子を残し
逝くしかなかった母


(二日前、三女と仲のよい、とてもよく三女の面倒を見てくれてる女の子のお母さんが亡くなりました。癌で、1年の闘病の末に。41歳でした。ご冥福を祈ります)
コメント (0)

「ラブソングは歌わないで」
昔、聴いていた歌は
悲しい思い出が重なる
だから
ラブソングは歌わないで
あなたと一緒に
同じ景色を見ていたいから
あなたと同じ
道を歩いていきたいから
思い出を忘れる事はできないけれど
胸をはって
あなたと手をつないでいたいから
昔のラブソングは歌わないで
コメント (0)

「返歌;『歴史ゲーム』」
女が明るいリビングで笑っている。

ほのかなPCモニターの明かりが
女の顔を照らす。
永遠に途切れることのない
リアルな明かり。
たとえ、わたしの命が終っても
存在し続けるであろう。

おりかさなる ように
あい と にくしみ

真実を真実と受け止めないから
戦になる。
悪事を水に流せる事は
悪事を働いたものだけの特権だ。
忘れた振りをして、笑っているのは
弱者の特権。
どちらが幸福なのだ。
滅びは平和の言い換えなのか。

目を塞ぎ
耳を塞ぎ
口を塞ぎ
見なかったこととし
聞かなかったこととし
言わなかったこととする

メディアを抹消しろ。
歴史を塗り替えろ。
すべてを白紙にもどしてみろ。
それは、できることではない。

指の間から漏れ見た信実
指の間から漏れ聞いた真実
指の間から漏れ出た信実
すべてをさらけ出すのでなければ
斑な真実

ゲームはそこから始まる。
無くしたジグソーパズルのピースを
探し出すように。

滅びは結果ではなく、過程だ。
人類が何によって滅ぼされても
それは、過程に過ぎない。

老いがひとを死へ導いてゆくように。
木は成長し
風はやまず
星々は瞬き
エンドマークは、どこにも見えない。


――――――――――――――芳賀氏への返歌
コメント (0)

「テクニック」
いつのまにやら
ピンクのハートマークを
出せちゃってる

色恋コトバも
なにげにつぶやく

あなたのハートも
色変えできたらいいのに
コメント (0)

「たったひとりでも」
自分ひとりの不幸を嘆くより
自分ひとりの好運を誇示するより

大勢の幸福を
たったひとりで祝福し

たったひとりの悲しみを
大勢で支えてやるほうがいい
コメント (0)

「成人の儀」
ホンの少しの隙間から
洩れ出す汚泥が
純白の絹を汚す

洗っても洗っても
落ちることはない

けして もとにはもどらない
そうやって 人は大人になってゆく
疑惑と言う名の染料で
こころを染め抜いて 孤独に
落ちて行く

純白の絹は染め抜かれて
美しい晴れ着となる
疑惑という型紙に抜かれた
信頼と言う文様を纏い
成人の儀式が始まる
コメント (0)

「ふきのとう」
春呼ぶ香りの
ふきのとう
笑って顔出す
垣根裏
コメント (0)

「撒いた豆はころがって」
豆はころがって
立ち止まる
鬼に喰われるでもなく
福を呼ぶでもなく
何食わぬ顔して
そこに在る
コメント (0)

「光子邂逅」
光まみれの時間に
立会人は沈黙する
生まれしものは
魂の素粒子
闇なる門より
出る
「光あれ」
生まれた光は
君臨する獅子か
あるいは
抱擁する大気
畏れる僕べは祝福を受け
支配せんとするものは
光の渦に飲まれてゆくであろう
コメント (0)