パニック・シンドローム
本日東京証券取引所では
再度バブル崩壊後の安値を更新した。
大手四行の大幅下落が主要因だが、
それにつられて財務内容の悪い企業もまた大幅下落を余儀なくされた。
どうやら金融パニック再来の様相を呈してきたようだ。
A生命保険も危ないらしい。

1997年の山一證券、北海道拓殖銀行倒産のときよりも
実際の状況はもっと深刻なのかもしれない。
あれから日債銀、長銀が続けて倒産し
不良債権をたくさん抱える地銀の数多くがその類を免れなかった。
もちろんゼネコン、流通等、債務超過の企業も連鎖的倒産を余儀なくされた。
挙句、生保、損保の破綻だった。
だが、あのときは世界の主役を自負している
アメリカ経済が好況で、10年あまりの右肩上がりを続けていた。
それに追随して世界の経済立国は
それなりに好況の恩恵を受けていた。

だが、今年になってアメリカ、ドイツがバブル崩壊となり、
世界的に暗い影を投げかけている。
世界的不況が長びけばと、経済恐慌の不安さえ出始めた。

小泉首相は経済にはずいぶんと疎い。
金融に関していえばずぶの素人と大差ない。
えいやーとかけ声ばかりである。
また、竹中経済相は学者である。
世界的視野に立って実質経済を実践していない。
なぜ、世界のTOYOTAやSONYからの人材を求めないのか?

本日大手四行のうち、
UFJホールディングスとみずほホールディングスとがストップ安で引け、
三菱東京フィナンシャルグループと三井住友銀行が大幅安した。
株価下落による不良債権処理の遅れを嫌気したものだが、
当時とちがう点は大手證券三社の株価の下落幅が
大手四行と比べてそれほどに顕著でないことである。

証券会社は不良債権をほとんど持っていない。
手数料収入は減っているだろうが、
5年前の金融パニックを教訓に、生き延びる術を探ってきた。
朝7時出社、夜8時退社の勤務時間の中で
株式以外の金融資産運用を幅広く手がけている。
それに比べ、金を貸せない銀行に金融収支は限られていて、
ただみたいな利息でもって貯金を預かり、
1パーセントあまりの国債を買って
運用するのが関の山である。
このままでは、大手銀行の収益は、
いつまでたっても消費者金融に勝てはしない。
いちばんの融資先が消費者金融なのだから。

現況、三菱東京と三井住友は安泰だろうが、
みずほ、UFJにおいては国有化の懸念さえ出てきている。
思えばみずほグループの前身は、日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行だった。
UFJグループは三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行だった。
選りすぐりのエリートたちの就職先ではなかったのか。
二行の不良債権は、
公的資金を注入してもなお、
未だいささかも減る状況にない。

今さら何をペイオフ延期である。
小泉内閣が基本方針に掲げる不良債権問題を
本気で2004年度内に終結させる気なら
ぶっつぶれる企業はかなりの数に上るだろう。
失業者があふれ、国民生活は今より苦しくなり、
当然世論は非難轟々となる。
それでもあえて断行するならば
可能性は低いがひょっとして道は開けるかもしれない。

今日の日経新聞一面の記事は
『道路公団5兆円の債務超過』である。
民間基準で財務を再計算するとそういうことであり、
またまた国民に負担を強いるしか方法がない。
田中角栄以降、歴代の政治家たちは大馬鹿揃いだったというほかはない。
そのつけは、数10年して甚だしく国民生活に及んできた。
先が暗いということほど深刻なことはないではないか。

世界的なレベルで調査した機関によると、
日本の学生の能力がかなり下がってきているそうだ。
もちろん東大や京大レベルの大学においてのことだ。
現在の日本の若者は低学歴化ではなく、低能化社会であるとも言われている。
人材のない国に発展はない。
日本をしょって立つ若者が
明治維新のときのように数多く現れなければ
政治だけではなく全てにおいて
アメリカから大きな黒船がやってくるかもしれない。

アメリカからの黒船なら
まだましなのかもしれないが・・・・・。