長月に
きのう夏野菜の後片付けをしていた。
朽ちてしまったトマトを
方々に醜く拡がっているカボチャの蔓を。

そんな中からあっと驚く収穫があった。
案の定そこかしこに
カボチャがごろごろころがっていて、
カボチャの蔓の陰から中玉のスイカが一個見つかった。

どうせ二番成りの半腐りだろうと思ったが、
試しに庖丁を入れてみたら、
その瞬間パシッとはじける音がした。

真っ赤な楕円の切り口から
新鮮な夏の香りが充満してきた。
それは、予期せぬめっけものだったし、
最後の夏の贈り物だった。

冷蔵庫に冷やして
今年最後のスイカが美味だったことはいうまでもない。

長月に西瓜食する風情かな


今朝からようやく秋風が吹き始め、
ススキの穂がちらほらと見えるようになってきた。
大根の芽のそばでは秋茄子が成っている。
柿の実もそろそろ色づいてきそうになった。

よく気をつけていないと
小さな秋は束の間に終わってしまう。