携帯メール
きのうの昼下がり、高校時代の同級生の女性から携帯電話にメールがきた。
僕は携帯メールをほとんど使わない。
指先で変換するのが面倒だからである。
メールはほとんどパソコンを使う。

「あの、相談したいことがあるんだけど、即レスで頼める?」
「相談なら話したほうがいいだろう。こちらからかけるよ」
「ううん、声を出すと言いたいことも言えなくなっちゃう。ちょっと恥ずかしいんだ」
「めんどくさいな、まあいいよ。話ってなんだい?」
「Kくん、男だから浮気したことあるよね」
「いったい何のことだよ。浮気は男がするもんじゃなくて、男と女がするもんだ」
「まあいいじゃん。ねえ、内緒にしとくから教えてよ」
「知らん。そんなの相談じゃないだろ。即レスなんてめんどくさい。もうやめた」
「ごめん、ちょっと待ってよ。わたしのことなのよ。好きな人ができちゃったの」
「それで寝たのかよ」
「単刀直入に言うわね。白状するわ。実はそうなの。浮気する男の人の気持ち聞きたくて・・・・・」
「あほか。僕の気持ちとそいつの気持ちが同じじゃない。それに僕は人妻とは寝たことないよ」
「うそつき。じゃあ、一般論でいいから教えてよ」

これ以上指を使うのは面倒になってきた。パソコンへと移動する。たまたま今日は一人で家にいた。それじゃないとこんな相手つきあってられない。

「寝るのだけ本気、それ以外は嘘。全部本気だったらどっちも家庭崩壊だ。まさか、おまえ、浮気の男に惚れてんじゃないだろうな」
「ちがうわよ。初めての体験だったからどきどきしてるのよ。こんな気持ち初めてだから」
「一回きりでやめとけよ。おまえ危ないよ。僕は清廉潔白を神様にかけて誓うほど真面目じゃないけど、おまえみたいなやつを相手に遊ぶほどやばいことはしない」
「それどういう意味?」
「おまえは昔っから惚れっぽかったってこと。あばたもえくぼってね」
「馬鹿にするのもいい加減にしてよ。わたしあんな男に惚れてなんかいないわよ」
「じゃあ、相談もくそもないだろ。旦那大切にしろよ」
「ふん、真面目くさっちゃって。高校時代のこと奥さんにばらしてやるから」


あああ、やってられない。なんで僕がこんな目にあわなくちゃならないんだ?ばかやろう。携帯のメールアドレスを変えておこう。