脱ダム宣言
 長野県議会で不信任決議案が可決された長野県の田中康夫知事の件について、是非論議が起こっている。不信任決議案について、議員連中はダム問題ばかりが理由でないとしているが、田中知事と県議会議員の深い対決姿勢が浮き彫りになっている。

 長野県におけるダム問題については、私の詳しく知るところでないので、その是非を短絡的に述べることはできない。が、バブル期以降、公共事業という名目の国家および地方の財政支出は、そのほとんどが国債、地方債という紙切れによって行なわれているのが現状である。つまりその多くが国民、住民への借入金によってまかなわれているのである。

 ワールドカップのために作られた宮城スタジアムの建設費用は、およそ275億円かかったようである。たった3試合を行なうためにである。今後、スタジアムの維持費は年間3億円が必要とされている。これからのスタジアム使用の予定は、SMAPのコンサートひとつだけ、最寄の駅より遠いためJリーグの試合開催もなく、県民の一部からは潰してしまえと憤りの声もあがっている。

 車が走らない高速道路、利用者のない公共施設など内需拡大、景気回復という名目でどれほど多くの無駄金が相変わらず使われていることだろう。政治家たちの多くは無能で、それを指示する国民は大馬鹿だ。役人は自分勝手で私利私欲に走り、それにハイエナのように群がる守銭奴たちは国賊だ。田中氏の行動がどれほど傍若無人で、対話を求めないものであっても、住民の知らないところで税を使い、さらに借財を重ねるよりはましだと思いたい。

 神戸市や阪神間の都市が、震災ののちどれほど財政に苦しんでいるか。やむを得ない自然現象のせいだとはいえ、復興のための地方債の発行は限度額ぎりぎりになっている。宮城県も神戸市も企業でいえば、倒産寸前の状態なのである。日本国も減資を余儀なくされたダイエーとなんら変わらない状況である。今のままでは、国民に借金を帳消しにしてくれと頼まねばならない。詰まるところ、年金も雇用保険も健康保険もいつかは掛け捨てになるということである。むろん、お金の値打ちが下がることでもある。