ジレンマ
この国で不良債権という言葉が
日常的に使われるようになって10年は経たような気がする。
今や子供でもその言葉の響きを知っているのだから、
片付いていくどころかまだまだ増え続けているのだろう。

厚生労働省の発表では、
2025年において 現行の年金給付水準を維持するなら、
厚生年金保険料率はサラリーマンの年収のおよそ25パーセントにもなる。
これには高齢化と少子化の二つの要因があるとしているが、
現在の若者の生活状況を考えると少子化対策は容易ではない。

しかし、この厚生労働省の発表にも不良債権が隠れている。
我々がこれまでに徴収された年金資金は、
債券や株式に運用されており、
バブル期以降のその含み損は計り知れないものがある。
そして、未だに株式市場が低迷すると
市場を支えるため年金資金が投入されている。
株式市場はもはや年金運用にとって、
両刃の剣となってしまった。

中国での北朝鮮人亡命連行事件について、
日本の対応を国際社会が注目している。
あのビデオを見る限りにおいて
その場に居合わせた日本人は
なんとのろまで馬鹿げて映っていることだろう。
危機管理など全くないに等しい外務省官僚たちの怠けぶりを
如実に表しているものではないだろうか。
挙句に収賄、不正流用である。

エリート意識まるだしの役立たずの官僚たち、
欲という泥にまみれた政治家たち、
彼らもまた日本の不良債権だと、僕は思う。

日本国の格付けは東欧のチェコ並になった。
西欧の怠け者と揶揄さててきた
イタリアにも到底及ばなくなっている。

ところで、この国にいろいろな不良債権がある限り、
いつまでもこの国から儲けとることができると考えている
諸外国の商人たちが存在することをみなさんご存知だろうか。
これまでに泡と消えたお金はどこへ行ったのだろうか?

こんなふうに他人事のように言いながら
僕はひどくジレンマに陥っている。
すぐそこに子供たちの未来が待っているからである。