ミセス・ウッズ
世界で最も美しく、最も難しいといわれるオーガスタ。
世界のゴルフの祭典、マスターズ・トーナメントを制したのはやはりタイガーだった。
26歳にしてはや3度目の優勝、
帝王ジャック・ニクラウスの偉業を超えるのは彼しかいない。

オーガスタには魔物が住んでいるという。
四日間の内の必ずどこかで、
世界のトッププロたちが信じられないようなミスを犯し、
勝利の女神に見放されていく。
パトロン(オーガスタではギャラリーに敬意を表してこう呼ぶ)たちは、
そこをアーメンコーナーと呼んでいる。

2位以下の選手たちは魔物に魅入られて脱落していった。
唯一タイガーだけが魔物を実力で凌駕できた。
地球上で現在の彼を超えるものは見当たらない。

話は変わるが、タイガー・ウッズは父がアフリカ系アメリカ人、
母がタイランド人の混血である。

四年前、史上最年少でマスターズを制したとき、
人種差別を口にするゴルファーがいたが、
彼のひたむきな超人的プレーに
今はそんなことをいう者は誰ひとりとしていない。

このままの強さと人気が続けば、
彼は四十歳にして、累計で一兆円を稼ぐとまでいわれている。
リッチさに憧れる女性は彼を放っておきはすまい。

僕はただひとつタイガーに願うことがある。
いつもギャラリースタンドで応援している
彼の両親を見ていて思うのだ。

できれば、ミセス・ウッズとなる人は金髪美人であって欲しくないと。