ウォール街発
 マンハッタンにあるニューヨーク証券取引所が、一週間ぶりに再開された。

 世界の金融の中心がどのような状況になっていくのか、世界中から注目されている。

 FRBは取引開始直前、株価の暴落を防止するために、グリーンスパン議長から公定歩合の0.5パーセントの緊急引き下げが発表された。株価の暴落は、アメリカ経済の減速であるという判断のもと、それはアメリカ経済がテロに屈しないという強い決意の表れだった。

 ある投資家は愛国心から売ることをせず、買う側にまわることを発表した。自社株の暴落を防ぐために、ある企業では自社株買いを行なうという。

 好況を極めていたアメリカ経済は、昨年より減速の様相を呈していて、今年はついにゼロ成長の予測が伝えられていた。

 貿易センタービル破壊など、今回の多発テロ事件は、さらにアメリカ経済を停滞させる要因となった。

 テロ事件以後、世界中の金融市場が暴落を続けた。いかに世界の経済がアメリカに依存していたかということである。

 日本時間の午後十時三十分、ニューヨーク時間午前九時三十分、ヒラリー上院議員も出席して、ニューヨーク証券取引所が取引を再開した。

 しかして、危惧に反して穏やかに始まったと思われたが、時間が過ぎるごとに株価は徐々に下落してきて、暴落に近い下げになってきた。

 不況に追い打ちがかかってきた。株価の下落は資産デフレを招き、物が売れなくなっていく。輸出企業には大きな痛手だ。世界一の消費大国、アメリカへの輸出依存率が高い日本は、さらに不況が厳しくなっていく。

 ただアメリカの金融機能はまだ万全ではない。株価の下落を最小限にとどめ、アメリカ経済の減速を防がなければ、世界経済の大不況が待っている。残念ながら日本もアジアもどこもかしこもアメリカ頼みになっているのだ。

 現在ニューヨークダウは史上最大の下げを記録した。終値で下げを加速するのか、それとも回復しているのか、それは明日の朝わかる。

 このままでは、明日の東京市場は再度暴落の危機が待っている。マイカルの倒産の如く、株価がこれ以上暴落すれば、銀行は危ない企業を支えられなくなってくる。

 痛みは思わぬところから、突如、急激にやってきた。もう逃れられないぞと恐喝をするみたいに・・・・・。

あの夜、日本も同時テロに襲われていたのだ