13Days
「13デイズ」を見終わったあと、
テレビ画面では、旅客機が煙を噴いているツインビルのもう片側のビルに激突した。

一瞬、「13デイズ」がまだ続いているのかと目を疑ったが、
まさに現実の出来事だった。

第二次世界大戦から約56年、
以後、朝鮮戦争、ベトナム戦争が勃発、
アメリカとソ連の長い東西冷戦時代を経て、
ソビエト連邦崩壊、ベルリンの壁が倒壊した。

そのことにより、世界の主導権はアメリカ合衆国へと移行し、
軍事力だけでなく、経済力でもアメリカは世界に君臨する様相を呈していった。

しかし、湾岸戦争やパレスチナ問題、アフガン戦争など
イスラエルを支持するアメリカの政策は
中東諸国と絶え間ない反目を繰り返してきた。

武力では太刀打ちできない超大国アメリカに対して、
以前から無法者たちはゲリラ的なテロを断続的に行なっていた。
この惨劇にイラク大衆は大歓迎をしているという。

自由の国、アメリカは広かった。
敵地に潜入し、そこに住み、徹底的に計画を練り、
一切の武器を使わずに史上最大のテロを実行した。
過去の大戦を除く、これは人為による史上最大の惨事だ。
人間にとって絶対に許されざる行為だが、
テロリストたちにとっては義のために生きたのだろうか?
彼らの執念のすさまじさには想像を絶するものがある。

できるだけ早い犯人たちの逮捕と
二度と惨劇が繰り返されぬことを祈るばかりである。

冷戦時代、「13デイズ」で米ソによる第三次世界大戦は免れた。
しかし、現在アメリカ国内に潜むテロリストたちの局地戦は、
最終的な戦争への危機をはらませている。
アメリカは昨日のテロを「パール・ハーバー」と同一に位置付けているからだ。
アメリカは「パール・ハーバー」以外では、
過去に他国の侵略を受けたことがなかったからである。
以後、他国の戦争に軍隊を送ることはあっても、
自国への侵略がないのが強いアメリカの誇りだった。

アメリカは怒っている。
信じられないショックとともに、度を忘れたほど怒っている。
必ず報復をすると怒っている。
テロリストだけでなく、
テロリストを配した組織に、国家に報復をすると怒っている。
広島に原爆を投下したときのように怒っている。
アメリカにとって、昨日の惨事はもはや犯罪という名のテロではなく
戦争の宣戦布告を受けたようなものなのである。

それは世界恐慌という経済的波乱を危惧させるものでもある。
ついにニューヨーク発、波乱の幕は切って落とされた。

狙いは資本主義世界の混乱、そんな気がしないでもない