埋没
日本のプロ野球が埋没しようとしている。
FAで欲しい選手をとりたい放題のジャイアンツは、
勝って当然の戦力で勝てないし、
人気球団のタイガースは三年連続の最下位で、
今年もまた最下位の可能性が高く、ファン離れが起こっている。

野茂のメジャーリーグでの活躍からはや六年、
レベルの高いメジャーの野球を見ていると、
狭い島国から飛び出したくなるのも当然だ。
野茂の二度のノーヒットノーランは、
オリンピックでの金メダル以上の快挙だと思う。
すでに佐々木、イチローは正真正銘のメジャーリーガーとなっており、
衛星放送では毎日のように彼らの活躍を放送している。
スポーツニュースでは彼らのヒット一本まで伝えない日はない。

日本のプロ野球のテレビ視聴率が著しく低下している。
理由は面白くないからだ。
質の高い本場メジャーリーグの野球を見ていると、
ファンの目は肥えていく。

今日ヤクルトが早々とマジック33を点灯させた。
マジック対象のベイスターズと引き分けたからだ。
延長12回、両チームとも貧打で一点もはいらなかった。

ニュースステーションのスポーツコーナーではこんなシーンを映していた。
12回表、ベイスターズの攻撃、ワンアウト三塁、
バッターの打った打球はレフトまえへ
左翼手はワンバウンドで捕球していた。
まちがいなくレフトまえのヒットだった。
ベイスターズは決勝点を入れたはずだった。
だが、目の前で見ていた二塁塁審のジャッジはアウト,ノ―バウンドの捕球と判断した。

ベイスターズの森監督の執拗な抗議が三十分間続いた。
ジャイアンツの仁志のときは、
ホームランのジャッジを覆してファールに変更したじゃないか。
ビデオを見てみろよ。
しかし、判定は変わらなかった。

森監督は試合進行を妨げたと退場処分を受けた。
ヒットを打ったはずの佐伯選手は、
怒ってユニフォームを脱いで引きあげてしまった。
ベイスターズの選手はダッグアウトから全員姿を消してしまった。
まさか放棄試合か、と思われたとき選手は出てきて、どうにかゲームは終了した。

かくして優勝のマジックはこのように点灯した。
海のむこうでの話題と日本の話題とではこうも違うものなのか。

目の前のボールが見えない審判、
そんなシーンばかりを面白そうにあつかうマスコミ、
せせこましいジャパニーズスタイルの野球、
高校野球の延長のようなプロ野球、
外人の活躍次第のプロ野球、
そして、有力選手の海外進出。
早晩プロ野球の凋落は目に見えている。

今夜のヤクルトのマジック点灯
それは日本のプロ野球の埋没の点灯なのかもしれない